進化が止まらない! GHK GLOCK の基本解説とG17 Gen5 MOSの特筆ポイント
GHK GLOCK 衝撃のデビューから数年、3モデル目にして遂にグロックG17最新モデルのGen5 MOSがモデルアップされました。2024年はGHK以外にも、東京マルイやBATON airsoftなど複数のメーカーからGen5 MOSが登場しており、エアソフト業界として盛り上がりを見せるガスブロハンドガンとなっています。
東京マルイでは内部機構を刷新し、ハンマー式ながらスライドへの抵抗をほぼゼロとした設計が驚くべき動作性を生んでいます。BATON airsoftではGLOCK社の正式ライセンスを取得し、デフォルトでCO2仕様というアドバンテージを持っています。それぞれ特色がありキャラクターがはっきりと分かれているのも面白いポイントですが、それらの強敵に対しGHKの強みは一体何なのでしょうか。
まずは、GHKグロックシリーズ共通の基本構造についておさらいしつつ、Gen5 MOSで改良が加えられたポイントについて解説していきましょう。
GHK GLOCK の特長
GHKが製造するガスブログロックの特長についてはこれまでもいくつか記事をアップしてきたためご存じの方も多いかと思いますが、他メーカーとの根本的な違いについて改めて触れておきましょう。
GHK独自のノッカーとブローバックエンジンによる動作性
GHKグロックの最も独特なポイントはインナーハンマーが存在しないということです。
従来のガスブロハンドガンでは、例えモデルベースの実銃がストライカー方式だったとしても内部にはインナーハンマーがあり、ノッカーを介して一定の強度で放出バルブを叩くよう設計されています。スライドの後方にはハンマーのスペースを空ける必要があるためシリンダー容量は限られ、またスライドが後退する度にハンマーを起こすのでブローバックにパワーを要することになります。特に、海外製品では海外のガス圧に適応したハンマースプリングが採用されているケースが多く、日本のリキッドチャージガスでは動作が渋くなる傾向にあります。
それに対しGHKの設計では、トリガーの動きをハンマーを介さず直接ノッカーに伝え、スライドのブローバックでディスコネクタを押し込みトリガーリセットをしています。ブローバックでハンマーを起こす必要がないためスライドの動きは非常にスムーズ。一見すると、トリガーの引き方でガスの放出量が変わり初速がブレるのでは?とも思えますが、GHKでは疑似シアによりトリガーを引く際のパワーとスピードが一定以上になるようコントロールされているため初速は非常に安定しています。
また、インナーハンマーがないためシリンダー容量がスライド後端ギリギリまで使い切れるのも大きなポイント。ノズルのサイズはガスブロライフル並みの大きさとなり、ブローバックの強さと安定度は言わずもがな。スライドに掛かる抵抗が少ないことと併せ、抜群の燃費とガス残量ギリギリまで撃ち切れる性能、更にはキレのあるリコイルをも射手に提供します。
また、ライフル系と同じようにノズル側がピストンを兼ねているため、スライドを切削成型するかたちでシリンダーを設けており強度も充分。従来ガスブロハンドガンのノズル側に設けられた薄いプラスチックシリンダーとは、段違いの耐久性を持っています。
ただしハンマーレスであることのデメリットとして、トリガーが前進した状態だとコッキング(スライド操作)なしでもトリガーを引いてノッカーが前進してしまうため、マガジンが挿入されていれば撃ててしまうという「リアルではない」要素が避けられません。ここは、不意に誤射などしないよう運用面でも注意して頂きたいポイントです。
しかし、実銃と同じようにトリガーのコッキング・インジケーター機能が搭載されているため、マガジンを抜いてトリガーを引けば後退位置で止まるようになっています。スライド操作をしない限り再度トリガーを引くことはできないため実質的なセーフモードとなります。安全管理の面からも、保管時やセーフティーエリアに持ち込む前はマガジンなしでトリガーを引いておき、コッキング・インジケーターを活用するようにしてください。
リアルさへのこだわり
GHK GLOCK シリーズを選ぶもう1つのメリットとして、ガスブローバックでありながら実銃の構造に寄せられる部分は徹底的にこだわって設計している点が挙げられます。
まずはポリマーフレーム。
フロント及びリアのレールはインサート成型されており取り外し可能な別パーツとはなっていません。トリガーやチャンバー固定の基部となるトリガーロケーターやシリアルナンバープレートも可能な限り実物形状をコピーしており、またそれらの金属パーツ周囲のポリマーサポート形状もかなり忠実に再現されています。
アイアンサイトにも大きなこだわりが見られます。リアサイトは実銃同様スライドのダブテールスリットにはめ込まれており左右の調整が可能。ただし、リコイルでずれたり外れたりしないよう強固に取り付けられています。特にGen5 MOSでは固さが際立っているため、調整、取り外しにはピンポンチで横方向に叩くかサイトインストールツール等を使う必要がありそうです。
フロントサイトの固定もやはり実銃と同じ形状の薄型ヘックスボルトを使用しているこだわりよう。交換には専用ツールを用意した方がスムーズでしょう。
リアサイトが内部パーツと連結されず独立している点は、本来ハンドガンとして当たり前に欲しい機能であるサイトの左右調整が行えるという点で大きなメリットと言えます。
リアルさという観点ではマガジンも忘れてはいけません。GHK GLOCK のマガジンはBB弾の装弾部がスリットではなく、長物のガスブロマガジンの様に前面を完全にふさいでいます。そのため、マガジンポーチに挿した際の雰囲気も抜群。注入バルブを隠ししてくれるフロアプレートにはもちろんGLOCKの刻印が入っています。
その刻印についてはUMAREXによりGLOCK社の正式ライセンスが供与されており、堂々とGLOCKを名乗ることが許された製品となっています。
※TTIコンバットマスターについてはEMGによりTTI正式ライセンスを取得。
これら細部にまでこだわった造形は、コレクターアイテムとしても納得の完成度と言えます。GHKが製品に注ぐ情熱に対し、誉め言葉として「常軌を逸している」と言っておきましょう。
GHK GLOCK G17 Gen5 MOSの改良点
GHK G17 Gen5 MOSは、トリガーやリコイルエンジンなど根本的な構造はGen3やコンバットマスターと同じですが、もちろんブラッシュアップもされています。ここからは、G17 Gen5 MOSで新たに加えられた改良点について紹介していきましょう。
新型チャンバー
Gen3やコンバットマスターではホップアップ調整がダイヤル式となっていますが、少々難のある設計でした。というのも、ホップアップダイヤルへアクセスするにはテイクダウンを行いチャンバーを取り出す必要があり、ゼロインの際には弾道を見てはフィールドストリップを繰り返すというかなり面倒くさい仕様だったのです。
Gen5 MOSではチャンバーの設計が刷新されており、テイクダウンしなくてもホップ調整が行えるようになっています。スライドストップを掛けた状態で、付属の1.5mmヘックスレンチをチャンバーの右上に差して回すことでホップ調整が可能です。
ホップアームはやや複雑な仕組みですが、従来より水平にパッキンを押し込めるようなコンセプトで設計されています。インナーバレルやホップパッキンにも変更があり、パッキンでより気密を取りやすいようローディング部の延長と内径の絞りが見られます。長掛けホップになっているのはGen3と共通です。
テイクダウンレバー
Gen3では非常に操作しづらかったテイクダウンレバーは、Gen5ではフレームからの飛び出し量が拡大され簡単に引き下げられるようになりました。また、レバーを押し上げる仕組みも実銃の進化と同じように板バネからコイルスプリングに変更され、軽い力でスライドの取り外しが可能になりました。細かい変更ではありますが、これもまたリアルさへのこだわりが見られるポイントの1つです。
リコイルスプリング
リコイルスプリングは、こちらも実銃同様デュアル式に進化。ブローバック初期で柔らかめの外側スプリングが縮み始め、勢いのついた後半に固めの内側スプリングでクッション性を持たせる設計となっています。
ファーストロットのみ、低めのガス圧向きの弱リコイルスプリングが同梱されています。ただGHK GLOCKはスライドの動作が非常にスムーズであるため、海外仕様のリコイルスプリングでも充分なブローバックを見せてくれます。
重くなったトリガープル
疑似的にシアが落ちる感覚を体感できるGHKならではのトリガーフィーリングですが、Gen5では更に重みをプラスして実銃並みのトリガープルを再現しています。
ゲームユースに耐えうるギリギリまで強められているため、ノッカーの動きがトリガーと直結しているGHK仕様ではよりしっかりとしたトリガー操作が求められることにはなりますが、射撃時の感覚はよりリアルさが増しています。
ただし、中途半端なトリガー操作をすると正常な動作を妨げることもあり、固いトリガーに一長一短があるのも事実。しかし簡単に調整できるポイントではあるため、既に以前の記事でも取り上げた通りシアスプリングの交換でGen3と同じフィーリングまで軽くすることも可能です。
またセカンドロットからはシアスプリングが若干柔らかめなものに変更されています。Gen3ほど軽くはないものの、トリガー操作ミスでガス漏れを起こすことも抑えられ、バランスが改善されています。
ファーストロットでも、使用を重ねていったりコッキングインジケーターを活用することにより、純正スプリングがある程度ヘタって撃ちやすくなることも考えられます。しかしゲームユースを優先させるならば早々に軽いスプリングに交換してしまうのが得策かもしれません。ともあれ、調整の余地が残されていることは非常にありがたい仕様です。
尚、先述の通りノッカーの動きはトリガープルのスピードが影響するため、トリガーを素早く引き切らないとBB弾を発射できなかったりブローバックが中途半端になる場合があります。シアスプリングを弱くすることでトリガーは操作はしやすくなりますが、ジリジリと絞っていくような引き方がNGであるのは同様ですのでご注意ください。
セラコート
G17 Gen5 MOSではスライド、MOSカバー、アウターバレルがセラコートによって仕上げられています。これがリアルなのかと問われると返答に困る点ではありますが、少なくともGen3やコンバットマスターのアルマイトよりシブく美しい仕上がりとなっているのは確か。スライド表面の細かい粒子が程よい光の反射を生みつつ、セレーション周りのエッジの立ち方や溝内の塗膜の粗さ、オイルの乗り方で変わる質感など、キレイ過ぎるアルマイトにはない表情がGen5 MOSの魅力です。
👆比較のため2本並べて同時に撮影。画像クリック/タップで拡大してご覧いただけます。
セラコートは摩擦係数の低いコーティングであるため、ティルトバレルの動きを再現したアウターバレルと相性が良いです。見た目だけでなく動作面においても効果は絶大です。
セラコートの弱点としては、角の立っている部分や金属同士が触れる部分はどうしても塗膜が欠けたり薄くなってしまいます。ホルスターの抜き差し程度では影響はないものの、金属同士が擦れるチャンバー上面やスライドとバレルの接触面は徐々に地金が出てきてしまいます。エイジング感覚で使用感が出てくると思えばそれもセラコートの味と言える部分ではありますが、気になる方は黒染めなど試してみると良いでしょう。
GHK GLOCK だからこそ実装しやすいオプティクスレディ
GHKグロックはスライドに直接シリンダーが設けられているため、ガスブロハンドガンでは一般的なブリーチが存在しません。シリンダー容量は全長で充分に稼げているため、スライド後端のスペースに余裕があるのはGHKならではのアドバンテージとなり、オプティクスレディがあるG17 Gen5 MOSではこれが大きなメリットに繋がっています。GHKのMOSカバーは実銃と同じ位置でビス留めされています。
また、GHKグロックはブローバックがスムーズなため、リフレックスサイトを搭載して多少スライド重量が増加したところで動作にはほとんど影響しません。
GHKでは本体と共にMOSアダプタープレートもオプションとしてリリースしています。流石にこちらは実銃とは仕様が異なるものの、激しいリコイルでマウントが飛ばないようスライドには10mmに及ぶ深いネジ穴が設けられており、強固にプレートを固定できます。プレートは4種類セットで、Trijicon RMR、Vortex、Holosun、NOBLEX(旧Docter)、EOTech、Leupold、C-Moreなどなど有名どころの各種リフレックスサイトに対応。
これらは全て実物対応となっており、取付ネジも実物光学機器と同規格のネジを使う必要があります。光学メーカーによってはインチネジが必要な場合もあるため、レプリカのドットサイトを搭載する場合はフットプリントが合っているかの確認と共に、ネジも規格の合うものを別途用意する必要があります。ネジ規格をバッチリ合わせ、ロックタイト塗布など適切な取付を行っていれば、GHKグロックのリコイルでも緩む心配なくオプティクスの使用が可能です。
適応するネジ規格についてはサイトアダプタープレートのパッケージに記載されております。
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ざっと紹介しただけでもこれだけの記事ボリュームになってしまったGHK G17 Gen5 MOS ガスブローバックですが、長年 最高のサイドアームを求めていた筆者としては完璧に近い魅力をまだまだ紹介しきれぬ歯がゆさがありまます。これは実際に手に取っていただかなければ伝わり切らないことが多分にあるためとも言えます。
Gen3との差で言うとトリガープルの強化などは実射性能に影響を及ぼすため、広いユーザー層に受け入れられるか不安もありましたがそんな心配はどこ吹く風。リアルさを追求したバージョンアップは多くのGHKグロックオーナーに受け入れられています。
そんなGHK G17 Gen5 MOSですが、遂に2次ロットの生産もスタートし流通がはじまっています。ORGA AIRSOFTでは基本的に日本の代理店からJP Ver.を仕入れる意向ではありますが、市場ニーズに対して日本への輸入量が少ない様で、場合によっては海外ディストリビューターから直輸入した海外版も販売します。心配していたJP Ver.とのスペック差はなく、初速やブローバックも問題ないことを確認済み。恐らく違いはUMAREXのあるドイツ本国のマーキング(シリアルプレートの周囲にうっすらプリント)の有り無しくらいのようです。
また、ORGA AIRSOFTで販売するモデルについては注入バルブをタニコバ製に交換しておりますので、JP Ver.と全く同じ仕様でお使いいただけます。
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